「喜怒哀楽」

 今回は「喜怒哀楽」について、書きたいと思います。

 ペーパー学習の「お話の記憶」に頻繁に出題される問題ですが、「この時、お母様はどんな顔をしていたと思いますか?びったりの顔に〇を付けましょう。」の選択問題、見たことがありますよね。かれこれ10年以上前からでしょうか?筑波の問題には必ずといって良いほど出題されています。

 私は、この問題について、精神医学的なことから、「人の感情を読み取ることが不得手な子ども」を探す問題なのではないかと、つい最近までずっと思ってきました。ちょうど、学級崩壊が騒がれていた時期でもありましたので、学校側が知りたい情報であると思ったからです。

 しかしながら、先日、「それだけではないのかも知れない」と思うことがありましたので、こちらに書かせて頂きました。

 幼児教育に長く携わっていますと、当然のことながら、時代による子ども達の変化も、大人社会に暮らしている方々よりは、理解していると自負しています。昔の子ども達と今の子ども達の一番違う所は、想像力と表現力の低下ではないかと思っています。受験の時に「目がキラキラしたお子様」は、どこの学校に行っても引く手あまたなのですが、そういった意味で安心して観ていられるお子様が、少なくなっていることは事実です。外部からの刺激に無反応というか、内側から出て来る感情が見えないというか、そんな感じなのです。わかりますか?

 しかしながら、思い出して下さい。お子様が赤ちゃんだった時を。全力で発信し、全力で怒って、全力で泣いて、全力で笑っていました。それ、どこに置いて来てしまったのでしょう?

 今年はコロナ禍で、大変な世の中になっていますが、それによって気付かされることもたくさんあります。例えば、受験の面接をリモートでする学校も既にあるように、子ども達がパソコンやスマホの画面に向かうことが、当たり前の時代になりました。そして、当然、大人達も同じです。先日、私が気付いたのは、正に自分自身のことでした。私は、子ども達の目の前に立った時は、自動的に先生モード(女優モードとも言います)にスイッチが入るので、大袈裟に表情を作ることができます。怒ってもいないのに、子ども達に怒った顔を見せたり、悲しくもないのに、泣く真似をして哀しい顔を作ること、頑張らなくてもできるのです。しかし、これ、大人の前でやるのは、そうとう難易度が高かったのです。そのことに先日リモートのオンラインサロンに参加している時に、初めて気付きました! 不思議なもので、精一杯やっているつもりなのですが、全くできていない、表情が硬いのです。

 その時に思ったのです。筑波のあの問題は、精神医学的観点から注意すべき子どもを見つけるのが目的ではなく、全てのお子様が対象なのだと。(勝手な解釈ですが) 赤ちゃんの時に、あんなに表情豊かだった子ども達が、どうして表情のない子どもになってしまうのか?どうして想像力を失ってしまうのか? それは周りにいる私達、大人の表情が乏しいからに他なりません。

 特に今年は面接も本番のお試験もマスク着用必須で、お顔の半分が隠れてしまいます。そんな中で子どもらしく生き生きとした様子を見せるのは、なかなか難しいと思います。でも逆に、マスクに隠れていても、思いっきり笑っていたり、楽しんでいたり、怒ったり悲しんだりの表情は、ちゃんと伝わりますし、目に現れます。ですから、今からでも「喜怒哀楽」をもっともっと表現できるようにしてきましょう。顔だけでなく全身で表して行きましょう。

 そして、いつも言いますが、お子様のお手本はいつでもお母様とお父様です。鏡の前で「喜怒哀楽」の表情を練習してみて下さい。(私もやっています)  

必ず、ご両親の面接に役立ちます!もちろん、お子様の本番にも力を添えてくれること、間違いなしです!

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