「冷静に・・・」

 9月になり、年長さんの本番を迎える親御さんから、徐々に焦りの色が見えてくるようになりました。願書や面接、その他、本番の時のお子様のお支度など、様々な噂が飛び交う時期だからです。去年の今頃は、そんな噂を聞いても「誰がそんなこと信じるのかしら?」と呆れていたことさえも、実しやかに思えてしまうので、これはもう仕方がありません。どうか、冷静になって欲しいと願います。

という訳で今日は「ちょっと冷静になりましょう」というお話をさせて頂きます。

 「あの女子校は、三つ編みじゃないと受からない」「あそこは、活発な子が好きだから、ショートカットの子しか受かっていない」「体操着にラインを入れると受かる」「寒くても半袖を着せないとダメ」「去年、ピンクのスーツで受かったらしい」「酢豚の作り方を覚えなさいと言われた」「願書は欄からはみ出して書いた方が熱意が伝わる」「面接の時に、〇〇塾で私から指導されていると言いなさい」仕舞いには、写真屋さんが勝手に「生え際の後れ毛を消して、眉毛に力を入れておきました」と写真修整をすることもあるようです。(生え際がツルンツルンの違和感しかない写真を見せられて、絶句したことがあります)

 どうですか?客観的に見たり聞いたりしたら、どれも変だと思いますよね?

 ところが、そこに学校名が入ると、急に信じてしまうのです。それだけ、必死ということです。自分のことではなく、我が子のことだからこそ、真剣になるのです。理解しています、そのお気持ち。                    それなのに、その助言をしているのが、あろうことか信用して通っている塾の先生だったりするので、厄介なのですよね。

 確かに、受験が終わってご挨拶に来て下さった方から、リアルで、更にミラクルなお話を聴くことは、塾の先生ならば多いはずです。私も数々の例外のお話を聞いてきました。

 例えば、『先生、うちの娘、ペーパーの最中に「先生、トイレに行っても良いですか?」と手を挙げて、トイレに行ったらしく、一人だけみんなと一緒に帰って来なかったのです。そして担当の先生に「途中でトイレに行ったので、出来なかった問題を今やっていますから、少しお待ちください」と言われました。もう終わったなと思いました』というご報告を受けました。そんな配慮をして下さるような緩い学校ではなく、前代未聞のケースなので、私もご縁がなかったなと思っていたのです。でも、結果、見事合格でした。話を聴くと、その学校の事前面接で、かなりの高評価だったことが予想されました。それは、そのお子様だからこそ勝ち取ったチャンスだったのです。

 また、これも女の子の例ですが、お試験の前にトイレに行ったのですが、長蛇の列でやむを得ず、トイレを諦めて本番に向かったところ、途中でお漏らしをしてしまったとのこと。お母様が待合室で待っている時に、係の方に呼ばれ、行ってみると担当の先生と教頭先生とお嬢様がおり、事情を説明されたそうです。教頭先生が「では、今日は途中ですが、これで」と仰り、お母様も深々と頭を下げて「本当にご迷惑をお掛けしまして、申し訳ありませんでした」とご挨拶した直後、本人が「まだ、最後までやっていないので、戻ります」と言ったそうです。お母様はギョッとして口を押さえたくなったそうですが、教頭先生がすぐに受けて下さり「続きをやりますか?」と聞くと、当たり前でしょ!と言わんばかりに「はい!」と答えたそうです。教頭先生が「では、みんなの所に行きましょう」とお子様を連れて、試験会場に戻ったという話です。こちらも、お母様曰く「終わった・・・」と思ったそうですが、結果を頂いたら、見事「合格」、補欠ではなく正真正銘の「合格」通知でした。

 こういった報告を聞いて「あそこの学校はトイレに行きたかったら言えば大丈夫」「お漏らしをしても合格できる」という極端な話をしてしまうのでしょうね。それが噂の根源です。他の噂も、全部その類でしょう。

 ここまで話せば理解して下さると思いますが、子ども達は本番の時に、割と頻繁に「奇跡」を起こします。でも、それは日々努力を重ね、地道にやってきたことのご褒美のようなもの、実は、本来の力を発揮できただけなのです。ですから、人のエピソードに乗っかっても、同じ結果が得られることはありません。また、そんなことをする必要も無いのです。

 お母様やお父様とお子様と、協力して今までやって来たことに自信を持って下さい。お子様が頑張ってきたことを認めてあげて下さい。そうすれば、噂に翻弄されることはありません。

 ここから本番までは、お子様に自信を持たせることに専念しましょう!ぶっちゃけ、それだけです!!(失礼^^;)

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