「個別テスト2」

 前回の続きで「個別テスト」についてです。今回は、どのようなテストがあるかを、いくつか例に挙げて見ていきましょう。

 個別テストは全て言葉での出題ですから、正しく理解し、言葉で返さなければなりません。(指示によっては、違う方法もあります)5歳・6歳児相応の言語力があるかどうかを、みられていると考えて良いでしょう。必然的に言語に関する問題は多くなります。その中で、私が実に的を射ているなぁと思う問題を例に出しました。

問:「先生の言った言葉の後に、続きを言いましょう」

 「洋服を~(着る)」「ズボンを~(穿く)」「テレビを~」「花を~」「靴を~」という具合に、10問位をテンポよく出題されます。1問目から答えられるお子様は、先生の出題の意味を理解したか、このような問題を経験したことがあると思われ、スムーズにお答えしていきます。一番多いのは、1問目が無言です。「何だろう?」と考える素振りがあり、うっ!と詰まりますが、2問目以降を聞いて、なんとなく気付いて答え始めます。そして全く聞き取りができていないと、「洋服を」に対して「洋服を」とオウム返しをしてしまいます。この場合は、最後まで気付かずにオウム返しし続ける場合もあります。

 この問題は、語彙の多さや、ご家庭の状況も、チラリと見える問題です。例えば「花を~」の出題に関しては、様々な答えが返ってきます。「植える」「摘む」「飾る」「咲かせる」「あげる」「活ける」等です。どうですか?「花」と聞いてお子様の頭に何が浮んだかが、わかるのです。「活ける」という難しい言葉を知っているお子様もいます。きっと、お母様が「花を活ける」という言葉を日常会話で話し、花を飾る習慣があることが想像されます。(女子校の過去問題です)

 その他にも、カードを使ってお話作りをさせると、お子様の頭の中が見えるような気がします。仲間分けをさせて、どうして仲間にしたかの理由を言わせることも、出題率が高い問題ですね。いろいろな角度から物を見ることができ、自分が考えた理由を相手が納得できるように伝えるのには、文章力が必要になります。ただ、この場合、難しい言葉を使わなくても、一生懸命自分の知っている言葉で伝えようと頑張っているお子様は、好感度が高いことも覚えておいて下さい。すぐに諦めて黙るのは、NGです。

 お子様のいるご家庭では、お子様が言わんとしていることを、先走って汲み取ってしまい、平素、単語や2語文しか話さなくても、全く不自由のない生活になっていることが、少なくありません。わざと、わからない振りをして、詳しく説明をさせたり、順序立てて話す習慣をつけておくことが対策になります。

 その他、個別テストでは、手を動かす作業の問題が多いです。巧緻性や生活習慣を見ることができます。運筆、紙を折る、紐を通す、結ぶ、箸を使う等の問題は、手先の器用さがわかります。配膳では、茶碗、お椀、箸を、指導者に向けてセットする問題もあり、日頃、お手伝いをさせているか、また左右の判断が出来ているか、相手に対しての気遣い、気配りができるか、等も一発でわかります。子どもだから、小さいからという理由で、やらせていないお手伝いはありませんか? 結構、高度なことも教えればできますし、意外と役に立つようになりますよ。どんどんやらせることで、お子様は成長し、お母様は楽になるという、良い循環が生まれます。

 思考・観察、注意力の問題も、個別テストなら判断がしやすいです。例えば、「お見本と同じようにこの箱の中に片付けて下さい」という出題(学校で使う文房具が5~8位入っています)は、さまざまな学校で出題されています。大人から見ると、とても簡単に思える課題ですが、子どもにとっては難問です。完璧にできるお子様の数の方が少ないです。どこが難しいかと言えば、例えば色紙が重なっている状態の時、片付けることに慣れていないと、上の物を先に置き、それを剥ぐって下に入れようとします。結果、上の物の位置がズレます。また、定規や鉛筆の向きや柄が逆、入れ忘れがある、きちんと整頓出来ず雑である、等、減点材料が多々あるのです。

 制作時に、「いつも机の上がきれいになっているように気を付けましょう」と声を掛けていますが、乱雑に散らかしながら作業をするお子様は、この課題はだいだい苦手です。逆に、神経質過ぎて、ちょっとのズレも許せずにいつまでも触っているお子様は、「時間切れ」になりますので、その辺の匙加減は難しい所ですね。

 さて、たくさんの例はお話できませんでしたが、「個別テストとはこんな感じ」と、理解して頂けたでしょうか? 数や地図、観覧車、シーソー、記憶などは、ペーパーでしっかりと勉強してください。その他のことは、ほとんどが生活の中で準備できることです。たくさんお手伝いをさせ、会話を多くすることを心掛けながら、個別テストに強いお子様にしましょう。

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