今回は、パフォーマンス力について、お話します。
幼児期に、人前でパフォーマンスする機会は、ほとんどありません。特に大勢の人の前で演じたり発表することは、幼稚園や保育園でも年に1・2回(お遊戯会など)しか、チャンスがないのではないでしょうか? まぁ大人になっても、社会に出てパフォーマンスを頻繁に使う職種は限られているかもしれません。
しかし、最近の小学校受験では、このパフォーマンス力を観られていると思いませんか?
音楽に合わせて自由に踊る、その場で習った歌を替え歌にして披露する、描いた絵や制作物をみんなの前で発表する、お友達と即興で劇をする、などもあります。日本人は、海外の人に比べて圧倒的に、このパフォーマンス力が劣っているからではないかと思います。これからのインターナショナルな世の中を生きていくであろう子ども達には、必要不可欠なスキルであると、学校側は考えていると感じます。
では、このパフォーマンス力は、どのようにして鍛えればよいのでしょう。
これは、育つ環境に大いに関係があると思います。もうずっと昔の話になりますが、幼稚園に勤めていた頃、私のクラスに「のりこちゃん」というとてもおとなしい女の子がいました。入園したばかりの年中さんの時から、ずっと真顔で、笑ったとしても口角が少し上がるくらいの微笑み、お話する声も口の側に耳を近づけないと聞こえないくらい小さく、外で走り回る様子もほとんど見たことがありませんでした。個別面談の時に、お母様にご家庭の様子を伺ったところ、なんと!ご家族全員静か~に、ほとんど音のない暮らしをしているということでした。テレビも観ないですし、音楽を流すこともありません。(注:ピアノはお上手でした)大声でゲラゲラ笑う人も誰もおらず、もちろんふざけて踊ったりしませんし、おままごとのごっこ遊びさえも、ただの仕草だけで行っていたようです。
「そうか、静かに暮らすと、子どもでも大人しくなるんだなぁ」と思いました。(もちろん、年長になるまでにガラリと変えましたけど)
また、他の例ですが、これは幼児教室の講師の時です。講習会の時に、やはり内気で恥ずかしがり屋のお子さんが受講されました。初日の挨拶もできず、促され励まされてやっとのことで入室できた女の子でした。3日間の講習会最終日、みんなの前でマイクでの発表があり、お母さまにも観ていただきました。初日から比べると、「よく頑張ったな」と私は思っていましたし、お母さまからも「やらせればできるものですね」との感想を頂き、ちょっぴりはお役に立てたかな?と思っていたのです。そして、また次の講習会にも参加して下さいました。それが、初日のご挨拶の時、別人かと思うほど変身しており、「○○ちゃんよね?」と聞いてしまったほど驚いたことを、よく覚えています。堂々と前を向き、大きな声で、更にニコニコ笑顔でご挨拶して下さったのです。お母さまに、「すごく変わりましたね」とお声かけした所、「実は、前回の講習会の後、劇団に入れたのです」と教えて下さいました。3日間の講習会の後「今がチャンス」と思われたそうです。「たまたま、タイミングが良かったのかもしれません」とおっしゃっていましたが、お母さまがきちんと「その芽」を見逃さなかったからでしょうね。お母さま曰く「人様が聞いたら疑問に思われるかも知れませんが、うちの娘に、今、大切なのは、受験のお教室よりもこっちだと思いました」ときっぱりおっしゃっていました。もちろん、志望校にも見事合格されています。
子ども達はもともと、生まれつきにパフォーマンス力を、持っているのではないか?と、私は勝手に思っています。なぜなら、赤ちゃんに音楽を聞かせたり、歌をうたってあげると、ノリノリで体を動かすことが多いですよね!また、子ども達は、大人を観て真似をすることで、様々なことを覚えていきます。これも、立派なパフォーマンスだと言えます。生まれ持った素質にプラスして、自分らしいパフォーマンスを生み出していくのだと考えます。
さあ、ご両親も恥ずかしがっている場合ではありませんよ!
ご家庭でミュージカルをやってしまうくらい、楽しくパフォーマンスをしていきましょう。