「叱る時には」

今日は、お子さんを叱るシーンについて書こうと思います。

 子育て本には、必ず「褒めて育てる」のワードが入っています。確かに、脳科学的に見ると、「ほめられる」→「ドーパミンが分泌される」→「ほめられたいと頑張る」→「更にドーパミンが分泌される」のように神経回路の変化が進み、学習の効率が上がると言われています。逆に「叱られる」と脳内では「ノルアドレナリン」という神経伝達物質が出ます。叱られることは、恐怖感というネガティブな情動体験であり、即時に脳にインプットされますので、叱ってばかりいると心的ストレスを感じ、だんだんと無気力な子になってしまいます。

 しかしながら、実際に子育てをしている際に、ほめてばかりはいられません。叱らなければならないシーンもたくさん出てくるのが当たり前です。「ほめて育てる」=「叱らずに育てる」ではありませんので、安心して下さい。良いことをしてほめられる、悪いことをして叱られることは、大脳の前頭連合野に様々な経験をさせているということです。子どもは、たくさんの喜びや挫折をしながら、心豊かに育ち、バランスの取れた思考力や判断力をつけていきます。ですから、叱るのも必要なのです。ただ、「叱り方」を間違えないことです。

先日、図書館に行った時の出来事です。

 お母様とお兄ちゃん(4~5歳位)と妹さん(2~3歳位)が、児童書のコーナー(靴を脱いで上がるスペース)にやって来ました。お母様は妹さんの為の本を探すのに夢中で、姿勢を低くして本棚に見入っています。図書館初デビューと思われるお兄ちゃんは、背の低い本棚をジャンプしてみたり、裸足でコーナーの外を駈け回ったりして遊んでいましたが、そのうち「〇〇ちゃん、おいでよ~」と妹を誘いました。もちろん、小声ではなく大きな声で呼んでいます。お母様は「お兄ちゃん、図書館なんだから静かにしなくちゃダメなの」とひそひそ話で声を掛けています。「うん、わかった」と言いながらも、楽しくなってしまって、もうやめることはできません。「ちょっと、早くおいでよ~」「静かにして!」「〇〇ちゃ~ん」「もう、お兄ちゃん、図書館なんだから!!」・・・・・何度も繰り返されるそのやりとりを聞いているうちに、男の子の大きな声よりも、お母様のイライラしたひそひそ声の方が、不快に感じられるようになってきました。結局、お母様が本を選び終え、図書館を出て行くまで、親子の会話は図書館中に聞こえていました。これはもう、迷惑行為ですね。

 このお母様の行為は「叱る」ではなく、感情にまかせて「怒る」の方でした。また「図書館は静かにしなければいけない場所」と説明してから来ているようには見えませんでした。本気で図書館のルールを教え、叱る気持ちがあるならば、すぐに図書館の外に連れて行き、きちんと説明をすればわかる年齢でしたし、もし、それでも守れなかった時には、即「ルールが守れないなら、帰りましょう」と、連れて帰るべきでした。

 そして、大事なのはその後です。たぶん、これができていないお母様は多いと思います。

「いつまでも、その件に関してグチグチと言わないこと」これだけです。

悪いことをした時は、「その場で、即、叱る」そして叱った後は、すぐに「元に戻る」です。子どもは、本来ケロッとしているはずなのですが、いつまでもしつこく怒られると、大人の顔色を伺う子になったり、逆ギレする短気な子、お友達に対して攻撃的な態度をとる子になることもあるので、気をつけましょう。

「叱る時は1回きり」です。それ以上、怒りたくなっても、ゴクンと飲み込んで下さいね。

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