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「詩の暗唱をしてみましょう!」

2023/04/27(木)
 先月 YouTubeで「語彙を増やす」ことについてお話しました。今回は、具体的な実践方法として「詩の暗唱」をお勧めしたいと思います。

 小学生の国語では、どの学年にも「詩」を学習する機会があります。本を読むのとは少し違い、短い文章から意味を読み取る楽しさや、音の響きからイメージを広げる面白さがあるように感じます。文字が読めない幼児期の「詩」の楽しみ方は、意味を理解するというよりは、音のリズムを楽しみ、言葉の響きの面白さを感じることに重点を置くと良いです。

 今回は「詩の暗唱」をすることによって「集中力・記憶力を養う」「日本の美しい言葉の響きを心に刻む」の2点について、書きたいと思います。

 先ず、集中力・記憶力を養うという点です。実際に3歳児~5歳児に、「詩の音読」をさせたことがありますが、みんな実に嬉しそうに取り組みます。子ども達に紹介している「詩」が、くどうなおこさんや、谷川俊太郎さんの作品だからかも知れません。言葉遊びや滑舌の練習のような、面白い音の表現がたくさん出てきます。(後ほどお勧めの本を紹介します)文字を読めないお子さんもいますので、始めは復唱からです。指導者が、短く区切ってお手本を言い、次に子ども達が同じように追いかけて言います。その時に、知らない単語が出て来ると文字がひっくり返ったり、勝手に解釈して違う言葉に置き換えたりと、実に様々なことが起こりますが、「1つの音も間違えないように、そっくり同じに言ってね」と助言すれば、集中して、いつもよりも注意深く聴くことができるようになります。また、復唱するには覚えなければなりませんので、同時に記憶力も鍛えられます

余談ですが、復唱をさせる時には、いつも最初に「詩の題名」と「作者」を言うのですが、ある時「谷川俊太郎さん」の詩を読んだ時「たにかわ」を「たにから」と、とても元気に復唱するお子さんが何人かいまして、それはもう可笑しくて、次に進めなくなってしまったことがありました。人の名前だとは、思ってなかったのでしょうね。私の頭の中では「『谷から、俊太郎さん』がお日様のように顔を出している」絵が浮かび、強く印象付けられて、これを拭い去るのに、だいぶ時間が掛かったことを覚えています。そんなことも、子ども達と「詩の暗唱」をする楽しさのひとつだと思います。

話を「詩の暗唱」に戻します。
短く区切って言えるようになってきたら、少しずつ繋げて文章を長くしていきます。この過程が、子どもにとっては、また面白く興味を惹くのではないかと思います。「ちょっとだけ難しいことに挑戦する→何回か練習するとできる→達成感を感じられる」という学習に効果的なサイクルが、勝手に出来上がるようです。この癖をつけることは、他のことに挑戦する時の意欲にも通じるものなので、是非、やってみて下さい。そして、全文を暗記できたら、お父様やお母様、おじい様やおばあ様、園の先生・・・等々、必ず披露する場を作って下さいね。いっぱい褒めてもらいましょう。

 そして「音読」をすることによって、日本語の持つ美しい言葉の響きが、自然に入ってきます。まず「聞く」というインプット、「声に出す」というアウトプット、そしてまた「自分の声を聞く」というインプットで、脳の前頭葉が活性化されます。そして、言葉を覚えるこの時期にインプットするならば、「良質な言葉に触れさせる」ということが重要ではないでしょうか。「詩」に使われている単語や言葉は、美しい表現が多く、ひと言で季節や風景、心を感じさせるものがたくさんあります。将来、詩の意味を理解する時が来るでしょう。また、自分でも文章を作る日が来ます。その時に、たくさんの言葉の引き出しを持っていたら良いと思いませんか?

 以上、今回は「詩の音読」をお勧めさせて頂きました。お子様の興味はそれぞれなので、どの詩を選ぶかは、お母様にお任せします。参考までに私のお勧めも以下に紹介しますが、お母様やお父様の好きな詩を選ぶことのが一番良いと思います。「親子で楽しく!」が大切です。

<お勧めの本> 
「のはらうた」くどうなおこ :のはらうたの詩人は総勢125人 虫や植物に動物、更には風景などが物語の主軸として活躍する物語、子ども達が身近に感じ、空想が広がり易く、優しい気持ちになれる詩です。
「谷川俊太郎詩集 たったいま」:膨大な作品の中からの37編です。子どもだけでなく大人にも、考えさせられる、気付かされる詩がたくさんあります。親子で読みたい、音読したい本です。
その他、「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」の童謡でお馴染みの「まど・みちお」さんや、命の大切さを教えてくれる「金子みすゞ」さんも良いですね。