「言語力」

本日は、「言語力」について書かせて頂きます。

 さて、「言語力」を調べると「言語を用いて思考し、その思考した内容を正確に伝達する能力」と出てきます。正にその通りですね。そして、文部科学省の概念では、「学校教育の全ての科目を通じて個人の自己表現、他者理解、共同生活の能力を助長することを目的として、狭い意味の国語力にとどまらないコミュニケーション能力、思考力を差す用語として提案された」とあります。

 「言語力」とは、そもそも文部科学省が提唱した造語なのです。日本人は、外国人に比べて圧倒的に議論に弱く、更に論理的に話す技術が劣っているとの指摘が、言語力育成協力者会議(2006年6月)においてなされました。出来事について分析する脳力、仮説を立ててそれを論証する能力、的確に議論を進めたり、相手と交渉する能力等、コミュニケーション能力という人間としての総合的能力が低いと検証されたのです。

 小学校受験の試験においては、そのほとんどすべてが「言語力」のテストと言っても過言ではありません。

 ペーパーテストは、耳からの聞き取り、運動や制作も指示を正確に聞き取ることが要求され、行動観察ではお友達と言葉で交流することが必須です。また、面接では質問の意図を考えて、自分の考えを述べるという高度な能力が要求されています。もちろん、ペーパーを解くテクニックや運動の技術、制作や生活習慣での巧緻性は、大切ですが、それも言語での指示になりますので、言語力がなければ何をして良いかもわからず、勘違いや間違いが発生してしまいます。

 では、幼児期の今、どのように言語力を付けていったら良いのでしょうか?

 先ず、気を付けることは、「幼稚園児・保育園児と子ども扱いして、噛み砕いて話さないこと」です。第一子や一人っ子の方は、会話が幼稚だなと感じることが多いです。(もちろんご家庭によって大きく差があります)大人ばかりのご家庭では、お子様がとても小さな存在に見え、もちろん可愛いので、赤ちゃん言葉や幼児語を使うことが日常になっていることが少なくありません。一方、兄姉がいらっしゃるご家庭では、小学生用の会話をしています。それを普段から耳にしている弟、妹は、早くから「語彙」が豊富で口が達者になるのは当然です。そして、前者との差はとても大きいです。もし、擬態語や擬音語だけでの会話が成立している場合は、家族全体で意識して大人の会話をするように心掛けましょう。

 言語力には、先ほども出ましたが「語彙」が豊富であることが重要です。対策は、やはり本の読み聞かせがダントツだと思います。日常の生活の中では使わない言葉に触れることができます。また、お子様が「それ、どういう意味?」と聞くことも、必然的に多くなります。日本の昔話を読み聞かせれば、同時に日本の文化や風習も学ぶことができます。

 5~6歳は、感情や心を読みとる力が発達する時期でもあります。他の人の気持ちを考えられるようになり、自分と違う他者の考えを認められるようになります。また、情緒が増し、悲しい話を聞いて涙が出るなど感情移入ができるようになります。自分の気持ちを表す言葉をたくさん覚えれば、感情にピッタリの言葉を見つけることができ、表に出すことができる喜びを知っていきます。そして、きちんとアウトプットができる子になります。

 「気持ちを表す言葉」に関しては、最近「ヤバイ」「スゴイ」で全てを網羅してしまう風潮がありますので、大人がそのような言葉を使わずに、正しい言葉遣いに気を付けることも大事です。

 最後に、言語力を引き出すには、お子様の話をちゃんと聞いてあげることです。

 まだ思っていることが上手く言えず、口にするまでに時間が掛かっている時、急かせたり焦らせたりすると余計に言い出せなくなります。また、忙しいからと言って聞き流していると、「伝えたくてもどうせ聞いてくれない」と思ってしまい、自分から発信しなくなります。

 お教室などでは時間が限られていますので、「時間切れ」になってしまうことがありますが、ご家庭では、お母様がじっくり聞いて、お子様からのアウトプットを誠実に受け止めて下さい。そして、「それは、〇〇~ということ?」「△△という意味?」などの質問をしながら、何を伝えたいのかを正確に聞き取った上で、どのように話せば相手に伝わるかを教えるのが、一番良い方法です。お母様は、いかなる時もお子様の味方でなければいけません。しっかりフォローして下さいね!

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